オーガスチンのまなざし 神のおとずれ 2021年3月号より

「特任聖職 II」

昨年の十二月、このコラムで、特任聖職の有用性について書きました。一九九四年の「日本聖公会の現状及び将来に関する主教会の見解(管区事務所HPに掲載)」の中で、「各教会が一人以上の特任聖職を持つときに、専門化された専任聖職とのティーム・ミニストリーによって、宣教の活性化が計られると確信する。」と言われていました。それでは、 具体的にどうすれば、特任聖職が実現されるのでしょうか。

 

「聖職候補生の認可」

日本聖公会において、聖職になるためのスタートは、聖職候補生に認可される必要があります。詳しいことは、日本聖公会法規第三十七条以下に書いてあります。まず、志願の要件です。「満十八才以上であること。二年以上聖公会の令聞ある堅信受領者であること、または高等学校を卒業した者と同等の学力があること」です。この要件は、ほとんどの信徒の方であれば、問題ありません。 次に大切なことは第三十八条(推薦、出願、審査)のところに「聖職候補生を志願する者は、所属する教会の牧師および教会委員の三分の二 以上の推薦を得なければならない」とあります。普通の場合、牧師から教会委員さんたちに、「この人が聖職を目指すので、推薦をお願いします」というお話があって、教会委員会との面接などを経て、推薦してもらいます。特任聖職の場合、勿論、本人からの意思表示もありますが、教会委員会や信徒の方々から「あなたに特任聖職として、私たちの教 会のお世話や指導をお願いしたい。だから勉強して、按手を受け、聖職になってもらえないか」という依頼の方が大きいのではないかと考えます。勿論、人間ですから欠点もあるでしょう。しかし、信徒としての経験や配慮ができることが、大切です。

第四十条(教育)には、「教区主教は、その認める神学校においてまたはその認める指導者のもとで、聖職となるのに必要な教育を受け」させる、と定められています。神学校に行かなくても、学びの道はあるのです。

(神戸教区主教)