オーガスチンのまなざし 神のおとずれ2023年9月号より

『平和について確認したい事』

昨年11月、大聖堂で兵庫県基督教連合会主催の研修会が開かれました。講師は、遠藤雅已教授(神戸聖ペテロ教会牧師)。

先生は、お話の中で、『「平和が普通であり、戦争は非常事態である」との考えがあるが、「米国ブルックリン研究所によれば、紀元前1496年から紀元1861年まで3358年間に、戦争が世界のどこにもなかったのは11年しかなかった。結論から言えば、戦争は人類史の中で普通の出来事であって、平和の方が異常事態である。

また、人類は近代化が進むほど理性的、善良になり、戦争においても無駄な殺傷や残酷な戦術は減少すると考えられていたが、「世界戦争事典」によれば、18世紀の100年間の戦死者は七百万人。19世紀には千九百万人が死亡し、そして核兵器や毒ガスが使用された20世紀の戦死者は一億七百八十万人(この半数以上が非戦闘員)」とお話しくださいました。

これが私たちの住んでいる世界の現実です。この世界にあって、私たちが平和を考える時、イエス様は剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる(マタイ26章52節)」と教えられています。

また、「悪人に手向ってはならない。だれかがあなたの右頬を打つなら、左の頬をも向けなさい(マタイ5章39節)』「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。(マタイ5章44節)」と教えられています。

平和を作り出すための覚悟が求められています。

(神戸教区主教)