人類を深く愛し、救い主、み子イエス・キリストをこの世に遣わされた全能の神よ、み子はわたしたちと同じ肉体を取り、己を低くして死に至るまで、十字架の死に至るまであなたに従われました。どうかわたしたちに恵みを与えて、み子の苦しみの模範に従わせ、またそのよみがえりにあずからせてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
朗読者 旧約聖書はイザヤ書第45章21節から (45・21―25)
意見を交わし、それを述べ、示せ。
だれがこのことを昔から知らせ 以前から述べていたかを。
それは主であるわたしではないか。わたしをおいて神はない。正しい神、救いを与える神は わたしのほかにはない。
地の果てのすべての人々よ わたしを仰いで、救いを得よ。わたしは神、ほかにはいない。
わたしは自分にかけて誓う。
わたしの口から恵みの言葉が出されたならばその言葉は決して取り消されない。わたしの前に、すべての膝はかがみ
すべての舌は誓いを立て
恵みの御業と力は主にある、とわたしに言う。
主に対して怒りを燃やした者はことごとく主に服し、恥を受ける。
イスラエルの子孫はすべて 主によって、正しい者とされて誇る。
朗読者 旧約聖書を終わります
1 わたしの神、わたしの神、どうしてわたしを見捨てられるのですか // どうして遠く離れて助けようとはせず、わたしの叫びを聞こうとされないのですか
2 神よ、昼、わたしが叫んでもあなたはこたえられず // 夜、叫んでも心は安らぐことはない
3 あなたは聖なる方 // イスラエルの賛美を住まいとされる
4 わたしたちの先祖はあなたを信じ // あなたは彼らを救われた
5 彼らは助けを求めて聞き入れられ // 信じて恥を受け ることはなかった
6 わたしは虫けらであって人ではない // 人にそしられ、民に侮られる
7 わたしを見る者はみな笑い // わたしをあざけって言う
8 「彼は主を頼みとした。神が救いに来ればよい // 神が彼に心を掛けているのなら、救い出せばよい」
9 あなたは母の胎からわたしを取り出し // その乳房でわたしを育てられた
10 この世に生を受けたときからわたしはあなたのもの // 母の胎にいたときから、あなたはわたしの神
11 わたしから遠く離れないでください // 悩みはわたしに迫り、助けに来る者もない
朗読者 使徒書は、フィリピの信徒への手紙第2章5節から (2・5―11)
互いにこのことを心がけなさい。それはキリスト・イエスにもみられるものです。
キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。
このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。こうして、天上のもの、地上のもの、地下のものがすべて、イエスの御名にひざまずき、すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。
朗読者 使徒書を終わります
司祭 主は皆さんとともに
会衆 また、あなたとともに
司祭 聖マタイによる福音書第27章1節以下に記された主イエス・キリストの福音。
主に栄光
会衆 主に栄光がありますように (27・1―54)
夜が明けると、祭司長たちと民の長老たち一同は、イエスを殺そうと相談した。
そして、イエスを縛って引いて行き、総督ピラトに渡した。
そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨30枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。
しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。
そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。
祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。
このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。
こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。
「彼らは銀貨30枚を取った。それは、値踏みされた者、すなわち、イスラエルの子らが値踏みした者の価である。主がわたしにお命じになったように、彼らはこの金で陶器職人の畑を買い取った。」
さて、イエスは総督の前に立たれた。
総督がイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエスは、「それは、あなたが言っていることです」と言われた。
祭司長たちや長老たちから訴えられている間、これには何もお答えにならなかった。
するとピラトは、「あのようにお前に不利な証言をしているのに、聞こえないのか」と言った。
それでも、どんな訴えにもお答えにならなかったので、総督は非常に不思議に思った。
ところで、祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を1人釈放することにしていた。
そのころ、バラバ・イエスという評判の囚人がいた。
ピラトは、人々が集まって来たときに言った。
「どちらを釈放してほしいのか。バラバ・イエスか。それともメシアといわれるイエスか。」 人々がイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。
一方、ピラトが裁判の席に着いているときに、妻から伝言があった。
「あの正しい人に関係しないでください。その人のことで、わたしは昨夜、夢で随分苦しめられました。」
しかし、祭司長たちや長老たちは、バラバを釈放して、イエスを死刑に処してもらうようにと群衆を説得した。
そこで、総督が、「2人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と言うと、人々は、「バラバを」と言った。
ピラトが、「では、メシアといわれているイエスの方は、どうしたらよいか」と言うと、皆は、「十字架につけろ」と言った。
ピラトは、「いったいどんな悪事を働いたというのか」と言ったが、群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び続けた。
ピラトは、それ以上言っても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を持って来させ、群衆の前で手を洗って言った。
「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」
民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」
そこで、ピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。
それから、総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊の全員をイエスの周りに集めた。
そして、イエスの着ている物をはぎ取り、赤い外套を着せ、茨で冠を編んで頭に載せ、また、右手に葦の棒を持たせて、その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、侮辱した。
また、唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭をたたき続けた。
このようにイエスを侮辱したあげく、外套を脱がせて元の服を着せ、十字架につけるために引いて行った。
兵士たちは出て行くと、シモンという名前のキレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に担がせた。
そして、ゴルゴタという所、すなわち「されこうべの場所」に着くと、苦いものを混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはなめただけで、飲もうとされなかった。
彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いてその服を分け合い、そこに座って見張りをしていた。
イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを掲げた。
折から、イエスと1緒に2人の強盗が、1人は右にもう1人は左に、十字架につけられていた。
そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって、言った。
「神殿を打ち倒し、3日で建てる者、神の子なら、自分を救ってみろ。そして十字架から降りて来い。」 同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと一緒に、イエスを侮辱して言った。
「他人は救ったのに、自分は救えない。イスラエルの王だ。今すぐ十字架から降りるがいい。そうすれば、信じてやろう。 神に頼っているが、神の御心ならば、今すぐ救ってもらえ。『わたしは神の子だ』と言っていたのだから。」一緒に十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスをののしった。
さて、昼の12時に、全地は暗くなり、それが3時まで続いた。
3時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。
「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
そこに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「この人はエリヤを呼んでいる」と言う者もいた。
そのうちの1人が、すぐに走り寄り、海綿を取って酸いぶどう酒を含ませ、葦の棒に付けて、イエスに飲ませようとした。
ほかの人々は、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」と言った。
しかし、イエスは再び大声で叫び、息を引き取られた。
そのとき、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ2つに裂け、地震が起こり、岩が裂け、墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる者たちの体が生き返った。
そして、イエスの復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた。
百人隊長や一緒にイエスの見張りをしていた人たちは、地震やいろいろの出来事を見て、非常に恐れ、「本当に、この人は神の子だった」と言った。
司祭 主に感謝
会衆 主に感謝します